津和野町出身で、絵本、風景画、装画、エッセーなど幅広い分野で活躍する画家安野光雅の作品を展示する創造性に満ちた美術館。第1、第2展示室のある展示棟と、昭和初期の学校を再現した昔の教室やプラネタリウム、安野光雅著作図書や色々な絵本を揃えた図書室、安野の自宅を再現したアトリエがある学習棟も備え、来館者に自由な発想で楽しんでいただくことを目指している。
収蔵品のご紹介
「歌の絵本-日本の唱歌より-」より
『ふるさと』
唱歌「ふるさと」の曲のイメージを表現した作品です。穏やかに広がる山河の絵は安野の故郷津和野の風景に重なり、また、その自然の中を歩く子どもたちは、少年時代の安野の姿が重なっているように見えます。また、水彩の淡く柔らかい色によって醸し出される雰囲気は、観る側の心象風景にもつながります。
「野の花と小人たち」より
『れんげ』
四季を彩る草花と、傍らに小人の母子がふれあう微笑ましい様子を描いたメルヘンあふれるシリーズ「野の花と小人たち」の中の1作。安野が子どものころ親しんだ、自然の中で生命力強く咲く草花が水彩により細密に描かれています。
「繪本平家物語」より『紅葉』
この作品は、平家物語の原典を読み込んだ安野が、自ら感じた平家一門の栄華と滅亡の歴史を、七年余りの歳月をかけて完成させた80点からなる連作の内の1点です。絹地に墨や岩絵具、金泥、銀泥で着彩するという日本画の手法で描かれた作品は、安野が描く他の水彩画作品とは異なった趣を感じさせます。