いわみ美術回廊

VOL03

しまねバーチャルミュージアム-いわみ美術回廊

 日本画家石本正の作品を収蔵・展示する。「イタリアを旅した時にふと立ち寄った教会」をイメージした建物の中庭には四季を通じて多くの野鳥の訪れ、音楽が流れる。展示作品は、年間4回展示替えがあり、テーマを設けて作品を展示している。運営には「美術館サポーター」が積極的にかかわり、定期的に石本正絵画教室を始めとして住民の創作活動が行われている。また、石見ゆかりの作家や若手芸術家による作品制作・発表を通して地域住民との交流の場ともなっている。

収蔵品のご紹介

五条坂風景

たそがれの光に浮かび出た京都の古い家並みを線と面だけで構成した。坂の上の家々が、空に切りこむようにそびえ、手前に大きな家が黒々とあった。シミの浮き出た古い家の壁が、西日をうけて微妙に変化するさまを描きたかったという。

踊子

バレーを習っている女性をモデルにデッサンしているうち、小さい時からのあこがれだったサーカスの女性を思い出した。幼い頃、サーカスの女の子は、酢を飲まされて体を柔らかくし、無理やり難しい技を教えこまれると聞いたことがあった。以来、「可哀相だから僕が助けてやるんだ」と勝手に思いこんでいた。モデルを見ていて、ふとそのことを思い出した。彼女を描きながら、サーカスの踊子のもつ命のはかなさや美しさが描きたかった。

幡龍湖の女

2001年4月に石正美術館が開館して以来、石本正の作品は変化を見せた。ふるさとを意識した作品を発表するようになったのである。この作品は、益田市の蟠龍湖の風景とそこに住む少女を想像して描いたものである。背景の湖は実際の風景とは違う。神秘的な雰囲気を出そうと空想して描いた。右上には画家の心にある日本海も見える。